レッスン ~甘い恋の手ほどき~

ピンポン


彼が私を追い詰めたとき、玄関のチャイムが鳴る。



「チッ」


一瞬動きが止まった彼の下から、慌てて逃げ出す私。
でも、手が縛られたままで、容易に捕まって押さえつけられる。


「逃げるなよ。どうせ、セールスか何かだろ?」


彼の少し血走った目が、私を捉える。
必死に手を動かして、何とかネクタイをほどいたものの、それに気が付いた彼に、すごい力でつかまれてしまって。


「たすけ……」


大声を出そうとした瞬間、彼に口を塞がれてしまう。


「無駄だよ」



耳元で出された低い声に震えあがって、動けなくなってしまう。
怖い。好きだったはずの彼が、こんなにも怖い。

だけど、逃げなくちゃ。

こんなの、イヤ……。





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