レッスン ~甘い恋の手ほどき~

「痛ッ」


最後のチャンス。
私は渾身の力で体当たりすると、一瞬怯んだ修二さんの隙間を縫うようにして、玄関のほうへ走る。

だけど、すぐに足をつかまれて、派手に転んでしまった。


「キャッ」

「いい加減にしろ!」

「止めて!」



ガチャ

その時開いた玄関のドア。
鍵が、かかっていなかったんだ。

助かっ、た?



バタン

私をギュッとつかんでいた修二さんの手が離れて、すごい音がする。
慌てて捲れあがっていたカットソーを引っ張りながら、目を凝らすと……。


「何してる」

「なんで、あんたが……」


そこには左頬を真っ赤にして、壁にうずくまる修二さんと……


「片桐さん、遅くなってすいません」


深谷さんだった。




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