レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「片桐さん、自分の気持ち、言ってごらん?」
その時、私の目線まで下がるようにしゃがみこんで、そう言う深谷さんが私に小さく頷いた。
「君の力だけで足りないのなら、何時だってサポートする」
そう言ってくれた彼。
彼を信じて……。
そうしなければ、前に進めない。
もう、この状況は耐えられるものではない。修二さんと私に、未来なんてない。
私は、意を決して口を開いた。
「私っ、修二さんとは、もう別れたい」
「華帆!」
やっとその言葉を口にしたけれど、怒鳴り散らすような修二さんの声に、やっぱり震えてしまって。
「片桐さんは、そう言ってます。もう、いいでしょう。これ以上付きまとうなら、弁護士を雇いますが」
ゆっくり、そして、はっきりとした口調でそう言う深谷さんの言葉には、とても重みがある。