レッスン ~甘い恋の手ほどき~

彼に促されるままに、シャワーに入ると、修二さんに縛られた手首が、うっすらと鬱血しているのを見て、涙が溢れ出す。
あの時は必死で、少しも痛みを感じなかったのに、今頃になってひどく疼きだして。

この痛みは、体の傷だけではない。心の……。



「難しいこと考えなくたって」


私の事を好きかどうか聞いたとき、彼はそう答えた。

好きかどうかって、難しいことかもしれない。
だけど……すごく大切なことじゃないの?



彼との思い出を洗い流すように、全身を隅々まで流す。
この辛い気持ちも、流れてくれればいいのに――。


随分長めのシャワーを終えて、脱衣所に出ると、着替えが一式用意されていた。





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