レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「華帆、こっちにおいで?」
ずっと私を片桐と呼んでいた彼が、メガネをはずして私を「華帆」と呼ぶ。
「サイズ、よかったか? さすがに下着は買えないし、センスないから、コンシェルジュに頼んだんだ。交代制で女性もいてね。それと……」
何でもなかったかのように、会話を交わしてくれる彼の優しさ。
彼に深刻な顔をして出迎えられたら、私もなんと言ったらいいのかさえわからないから。
すっと立った彼が、私の手を取って隣の部屋へ向かう。
そこには真新しいスーツが掛けられていて。
おまけに、今すぐここで生活できそうなほど、何から何までそろっている。
「これ……」
「明日から、俺の秘書。
勝手だけど、やっぱり華帆が必要だから。
華帆の今の会社の常務と知り合いでね。もう、引き抜くって宣言してきたから」
優しく笑いながらそう言う彼。