レッスン ~甘い恋の手ほどき~
彼が淹れてくれたコーヒーを飲んだ後、私は慌てて身支度を整え始めた。
洗面所で顔を洗ったとき、腫れていると思っていた頬の赤みが引いていて、思わずその頬に触れてしまう。
寝室に戻って、そろえてもらっていた化粧品で、メイクをしようとしたとき、そこ置かれている温かくなってしまっていた保冷剤に気がついて、ハッとした。
もしかして、彼が……。
彼が用意してくれていたスーツは、私にぴったりのサイズ。
胸のあたりまである緩いウェーブのかかった髪を、一つに束ねると、なんとなくシャキッとしてきた。
社会人としての、小さなプライドが、まだ残っているのかもしれない。
今日からすぐに仕事を入れてくれたのは、彼の優しさなんだと思う。
一人で何もせずにいたら、きっとつぶれてしまうから――。