レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「あのっ、私は……」
「そこを出たところに給湯室があるから、お茶入れてくれるかな。華帆の入れたお茶は、本当に美味いから。
悪いけど、あいつらにも入れてやって。そういうのに飢えてるから」
彼に言われた通り、給湯室に行くと、なんだか雑に湯呑が積み上げられている。
男の人しかいなかったあの部らしいと、一人で笑ってしまった。
茶渋のついてしまった湯呑を、一つずつ丁寧に洗って、それを磨くと、さつきまであんなに緊張していた気持ちが、緩んでいるのが分かった。
「よし」
心を込めて、お茶を入れると、再びあの部屋に戻る。お盆を手にした私を見つけて、また人だかりができてしまった。
「俺たちの分までなんて、うれしいねぇ」
「美味いねぇ、これ」
そんなことを言いながら、お盆から勝手にどんどん持っていく彼ら。
今までの会社にはなかった、雰囲気の良さに驚く。