レッスン ~甘い恋の手ほどき~
安らぎ
一人で部屋に帰ると、やっぱり恐怖が押し寄せる。
部屋には昨日の修羅場を思わせる、乱れた形跡がいっぱいで。
やっぱり、彼の部屋に行けばよかったなんて、もう挫折しそうになる。
何も考えないようにしながら、必死でそれを片付けて、ベッドのシーツもすべて取り替えて……。
始めるんだ。新しい、私を――。
それでも、やっぱり緊張で眠れそうになかった私は、余計なことを考えないようにと、会社から持ち帰った資料を読んでいた。
「一心不乱」という言葉が適切なんだと思う。そうしていなければ、とても一人ではいられなかった。
突然鳴った電話に驚いて、慌ててそれを手にすると、そこに表示された名前を見るだけで、緊張が緩んでいく。
「――はい」
「華帆、大丈夫か?」
彼の声を聞いただけで、溢れてしまう涙。
「大丈夫、です」