レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「全く、強情だな。ダメなときは、ダメって言え」
呆れたような、それでいてとても優しい声の後、突然、玄関のチャイムが鳴って、ビクッと震える。
「俺――」
深谷、さん……。
慌ててドアを開けると、まだスーツ姿の彼。
少しお酒の匂いがしたけれど、彼を見るととても安心できて。私はきっと、ずっと、彼を待っていたんだってそう思った。
「バカだな。一人で泣くな」
抱き寄せられた瞬間、やっぱり涙が溢れてしまう。やっと安住の地を手にしたというように。
「華帆、好きだよ」
彼が、かすれたような声でそう囁く。
「それを、伝えに来た」
「深谷さん……」
私の髪を梳きながら、ゆっくり言葉を吐きだす。