レッスン ~甘い恋の手ほどき~


そんなの、信じられなかった。


何時だって皆、当然のように、私に体を求めてきたから。そして、それが当たり前なんだって、どこかで無理矢理納得している自分がいた。

これで十分だなんて、こんな人、初めて――。



「抱きたい……ですか?」


彼の腕の中で、つぶやくようにそう言うと、一層腕に力がこもる。



「抱きたいに決まってる。だけど、華帆がいいと思うその時までは、抱いたりしない。それに――俺自身の問題も片付ける。華帆に愛想つかされる前にね」



俺自身の……。
彼には婚約者がいるんだった。


何だか、それを寂しいと思ってしまう自分に気がつく。



だけど、片付けるって……。
そんなことしたら、きっと彼の立場は……。




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