レッスン ~甘い恋の手ほどき~
いつの間にか、夢中になって彼の話に耳を傾けていて、少し前までの震えそうな不安が安らいでいくのがわかる。
彼はまるで魔法使いだ。
心地よい彼の声と、きちんと愛を感じる上司と部下の関係。
それらすべてが、私の安定剤となる。
「みんな、あんなだけど、仕事の腕は一流だ。
それぞれ、長所短所があって、お互いがお互いを尊敬するところがあって……。
誰一人として、いなくなっていい奴はいない。
華帆、お前もだ。
もう、みんながお前の虜だぞ? どこで見つけてきたんだとか、あの資料をみて、ほんとにお前が作ったのかとか、うるさくて仕方ない。
でも、渡さないけどな」
まだ、たった一日しか勤務していないのに、そんな風に言ってくれる彼に、自分の価値も見出すことができる気がした。