レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「華帆、悪い、寝ちまった」
それらを一通りテーブルに並べたころ、突然ドアが開いて、ばつの悪そうな顔をした彼が慌てて出てくる。
「いえ。ごめんなさい。あんなところで寝かせてしまって」
あれでは、疲れが取れなかったかもしれない。あんなに、ハードな仕事をこなしているのに。
「作ってくれたのか?」
「あんまり材料がなくて」
「いや、うれしいよ。いつもコンビニだし」
私の真向かいに座った彼は、トーストに手を付ける。
美味い、美味いなんて、誰が作ったってきっと同じなのに、うれしそうに言ってくれる彼を見ていると、私まで気持ちが躍る。
「それに、華帆とこうして一緒に食べられるなんて、夢のようだ」
なんとなく、食べたくない気分だったけれど、少しだけでも食べようと、サラダに手を付けた時、彼がそう言う。