レッスン ~甘い恋の手ほどき~
私だって……こんなに穏やかな日が、再びやってくるなんて……。
しかも、もう二度と男の人とは触れられないって思っていたのに、こんなに安らげる人もいるんだって分かって……。
一度はあきらめたものが、再び手に入ったような、そんな気持ちだった。
「無理、するな?」
「――はい」
ずっと食欲がなくて、食べられなかったというのに、悠人さんが私の顔を見て、そう笑いかけてくれるから、もう一口食べてみようって思える。
やっと、トーストの三分の二を食べられたとき、彼が私の頭に手を置いて、喜んでくれた。
「よく、食べたな」
そんな言葉を聞いて、ちょっとセンチメンタルな気分になってしまう。
こんなちっぽけなことでも、喜んでくれる人がいて、私を認めてくれる人がいる。
「あとは、俺が」
なんて、私の残してしまったものまでペロッと食べてくれた。