レッスン ~甘い恋の手ほどき~
彼がいないと
急いで着替えて会社に向かう。
今までとは反対の電車に乗り込むと、やっぱりその人ごみの中では、委縮してしまう自分かいる。
私は……ダメな女。
そんな言葉が頭の中でグルグル回りだして、私の周りの人の視線が、私をグイグイ攻め立てているような気さえしてしまう。
息苦しくなってしまうそこでは、必死に酸素を求めても、上手く取り込めない。
次第に、ガンガン痛くなってくる頭。
もう耐えられそうになくて、見知らぬ駅で電車を飛び降りた。
これでは早めに家を出ても、着くのは始業ギリギリになってしまう。
修二さんと同じ背格好の人を見かけるだけで、泣きそうになる。
あの女の喘ぎ声が聞こえてくる気がしたり、修二さんに殴られた頬が痛みだす。
そんなのただの幻想だって、何度も何度も自分に言い聞かせるけれど、益々泣きそうになるだけで、少しも効果はなかった。