レッスン ~甘い恋の手ほどき~

けれど、悠人さんのことを思い出すだけで、ほんのわずかな勇気が私に降ってくる。

違う。
私は、別れたいって言えたじゃない。
ちゃんと、自分の意志を言えたじゃない。

そして、すがりつくように付き合ってきた修二さんと、別れようって決心できた。

ダメな女なんかじゃない。



朝、私の顔を見つめながら、「惚れた女の一人くらい、何とかしてやる」と言ってくれた悠人さんの顔を思い浮かべる。


彼が、きっと守ってくれる。

他力本願かもしれない。それでも今、この状況を脱するには、それが良い方法だと思う。自分一人の力で足りない時は。
きっと、彼も、それでいいと言ってくれる気がして……。



そう考えると、やっと落ち着いてきた鼓動。
意を決して、次にやってきた電車に乗り込んでも、もう、苦しくなかった。




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