レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「おはようございます」
早めに出社するつもりだったのに、もう部内の半分の人が来ていた。
「華帆ちゃん、おはよー」
「おはようございます」
華帆ちゃんなんて呼ばれて驚いたけれど、そう言いながら黙々とパソコンを操るのは、キス魔の加藤さんだ。
少しおかしくなって、笑ってしまう前に、急いで隣のドアを開けた。
鞄をそこへ置くと、お茶の準備をする。
なんとなく、もう彼は来ているんだと、そう思ったから。
どこにでもありそうな茶葉だったけれど、心を込めてそれを入れて、ドアをノックした。