レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「嫌です。深谷さんが隣に居ないと、私……壊れてしまう」
仕事にプライベートを持ち込む私は最低だ。
それでも、一人で部屋に帰ったら、また……。
たとえ会社で、ただの同僚という立場だったとしても、彼の傍にいられることで私は何とか自分を保っていた。
そのまま私を抱き寄せる形になった彼は、耳元で囁く。
「こんなところで、そんなこと言うな」
「すいません……」
「キス、したくなる」
キス……してほしい。
この時、はっきりそう思った。
修二さんには、あんなに触れられるのが嫌だったのに。
私、彼の事……。
一度、ギュッと私を抱き寄せた彼は、体を離して私の顔を覗き込む。
「本当に、大丈夫か?」
「――はい」
あなたが傍にいてくれれば、私は頑張ることができるの。
どんなに不安に飲み込まれても、また這い上がることができる……。