レッスン ~甘い恋の手ほどき~
暫くして始まった会議で、彼の話に合わせて、パソコンを操作することを任された私。そんな重要な役どころは初めてだったから緊張する。
けれど、今までたくさんのレポートを見てきたせいか、彼が言おうとしていること、そして、必要な資料がなんとなくわかって、おそらく、彼の欲しい画面を表示することができたように思う。
それらがすべて終わったとき、本社の人たちの満足げな様子を見て、ホッと気が抜けてしまった。
「お疲れさん」
「お疲れ様でした」
「さすがだ。片桐に任せて良かった」
そんな風に褒められると、一気に疲れも吹き飛ぶ。彼の言葉で、また一つ自信をもらった気がしていた。
「飯、行くか? 部に戻ると、お前を奪われそうだから、このまま抜けるぞ?」
「えっ?」
「あいつ等、片桐とランチに行くって張り切ってたから」
ふっと笑みを漏らした彼。
きっとこれも彼の気遣いで。
まだ、食欲がなくて、あまり食べられない私は、みんなと一緒にいったら、きっと変に思われてしまうから。