レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「この人ねー、前に本社から送り込まれた、きれいな秘書を3日でクビにしたんだ。仕事のできないお飾りはいらないってね。
結構非情だろ? こんな整った顔で、女の子を寄せ付けるくせに、スパット切るんだから。
それに、ここに連れてくるのは、お気に入りだけなんだよ」
マスターのそんな言葉に驚くと、涼しい顔をした彼が、さっさと席について、私を手招きする。
クビにした? 彼が?
なのに、私なんかが、彼の秘書をやっていても大丈夫なんだろうか。
「マスター、余計なことはいいから、こいつ、食欲ないんだけど、なんか食いやすいものを」
「たく、メニューってものが全く役立たない男だよ。そうだねー、卵雑炊でもいっとくか」
「あぁ、それで。少な目で頼む」
こんなおしゃれなカフェで、雑炊?
ここに来てから、疑問だらけだ。