レッスン ~甘い恋の手ほどき~

医務室に着くと、私を真新しいシーツのかかったベッドに寝かせてくれる。
委託されている看護師さんがまだ来ていなくて、誰もいないそこで、彼はベッドの端に座って私の顔を覗き込んだ。


「レッスン3」

「えっ?」

「会社でキス」


唖然とした私に、チュっと触れるだけのキスを落とす。


「元気になったら戻ってこい」


それだけ言うと、彼は戻っていった。




まだ、心臓がバクバクする。
誰もいなかったとはいえ、会社でキスをするなんて。

何だか恥ずかしくなって、布団にもぐってしまう。



だけど、何だか体調がよくなってきたのに気がついた。
それは、電車を降りたからじゃない。
彼の存在に安心したんだ。






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