レッスン ~甘い恋の手ほどき~
1時間ほど休んだら、すっかり体調が整った。
そっと部のドアを開けると、すっかり仕事に没頭していたみんなの視線が集まった。
「華帆ちゃん、大丈夫だった?」
「はい。すいません」
「なんで謝るんだよ。たく、深谷さんにいいとこどりされたし」
口々に私に語りかける。
「おい、サボるな。片桐が困ってるだろ」
騒ぎを聞きつけた彼が、奥から顔を出す。
「片桐、ちょっと」
彼が、私をその輪から助け出してくれる。
室長室に呼ばれると、メガネをはずした彼が優しい笑顔を向けてくれる。
「顔色、よくなったな」
「すいませんでした」
「早速……」
ニッコリ笑った彼は、再びメガネをかけると、すっかり仕事人の顔になって、私に指示を出す。
さっき交わしたキスを思い出してしまうのは、私だけなんだ。