レッスン ~甘い恋の手ほどき~

「華帆ちゃん、ここの確かめしてくれる?」


加藤さんが見積もりを私に渡す。


「もう、しましたよ」

「流石だなぁ」


ほんの少しでも役に立っているんだと思うと、ワクワクする。目が回るような忙しさだけれど、こんなに充実していると感じるのは初めてかもしれない。



「華帆ちゃん……」

「お前ら、片桐ばかり頼らないで、自分でやれ」

「はーい。華帆ちゃんの方が、正確でセンスいいのに」


そんなことを言われて、少しうれしかったりする。


その中心で指揮を執っている彼は、輝いて見えて。
メガネの下の真剣な眼差しと、的確な指示を出すその口と……。
思わず見とれそうになる。




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