レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「深谷さんが夢中になるのも分かるなぁ」
「えっ?」
「華帆ちゃん、かなりいい女だもん」
バシッ
厚いファイルで、深谷さんに頭を叩かれた山中さん。
「さっさと仕事せんか」
少し怒ったような彼が、チラッと私に視線を送る。
彼が私に夢中だなんて。
「失礼します」
日が暮れかけて、皆にコーヒーを入れていた時、見慣れないお客様がやってきた。
「西川と申します。深谷さんにお会いしたいのですが」
それは、髪を綺麗に巻いてとても上品なスーツに身を包んだ、背の高い女性だった。
育ちがよいと言う印象を、一目で感じる。
そして、私にはない、大人の雰囲気を醸し出していた。