レッスン ~甘い恋の手ほどき~
震えそうになる手にお盆を持ち、再び室長室に向かう。
「失礼……します」
できるだけ平静を装って、そのドアを開けると、険しい顔をした悠人さんと彼女が向かい合わせに座っていた。
「私は、ずっとあなたと一緒になるんだと思ってきました。今更、そんなことを言われても困ります。あなたを好きなんです」
まるで、私の存在なんて少しも気にならない様子で、彼に詰め寄る。そして、その言葉の後突然立ち上がった彼女は、彼の傍まで歩み寄ると、一瞬にして彼の唇を奪った。
ガシャン
その光景を目の当たりにしてしまった私は、思わずお盆を落としてしまった。
「す、すいません」
激しい心臓の高鳴りを感じながら、慌ててそれを片づけようとしゃがんだ時、彼の匂いが私を包んだ。