レッスン ~甘い恋の手ほどき~

触れるだけじゃなくて、舌を絡ませるような濃厚なキス。そこに彼女がいるというのに、まるで見せつけるかのような。


「んっ……」


息をすることが儘ならないほど、彼のキスは激しくて。どんなに彼の胸を押しても、私を離してはくれなかった。

キスからやっと解放されたとき、膝がガクッと落ちそうになって、思わず彼にしがみつく。

どうして……こんな……。



ゆっくり振り返る彼。


「こうしたいのは、こいつだけ。この先ずっと、何があっても変わらない。あなたも、本当の恋を見つけてください」



今まで聞いたことのないような、低い声でそう告げる。
その瞬間、我慢していた涙がこぼれてしまって、それを手で拭ってくれる彼がいた。


その様子に目を見開いた西川さんは、何も言わずに慌てて出て行く。





< 210 / 253 >

この作品をシェア

pagetop