レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「華帆、キスさせろ」
いつものように優しくじゃなく、命令口調でそう言う彼。あっという間に抱き寄せられて、唇が重なる。
「待って。誰か来ちゃう」
「それでもいい。今、したい」
今度は、私の唇を少し強引に割って入ってくる彼の舌。
ガシッと後頭部を支える手に力が入って、思わず彼の背中に手を回す。
離したくない、この温もりを。誰にも渡したくない、大好きな彼を――。
「はぁ……」
会社だというのに、思わず出てしまうため息。
そんなことも気にならないように、彼はその唇を離すことがない。
夢中になって絡めあう舌と舌。
彼を感じる。あの時、一瞬にして遠くに行ってしまった気がした彼は、確かにここにいる。
こんな情熱的なキスは、きっと初めてだった。