レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「これ以上はまずい。止まらなくなる」
そう言って私をキスから解放した彼は、ギュッと私を抱き寄せる。腰に回された手が、いつもより力強い。
「華帆、ごめん」
耳元でそうささやく彼の息もあがっていて。
あのキスが彼の意志ではなかったことは、私が一番よく知っている。だけど、やっぱりショックだったのも事実……。
好きな人が、別の女(ひと)となんて。
「悠人さん、私っ……」
「ごめん」
彼の腕の中で、首を振ることしかできない。ぐちゃぐちゃになった頭の中を、自分で上手く整理できない。
悠人さんは悪くないのに、こんなにも嫉妬している私。こんなに激しい感情が、私の中にもあったんだ……。
けれど、彼の腕の中で、その早い鼓動を聞きながらまどろんでいると、少し気持ちが落ち着いてきた。
そして、ここが会社だと言う事実を思い出して、我に返った。