レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「片桐、今日は仕事にならないから帰るぞ」
湯呑を片づけ終わったのに、給湯室から出られなかった私。自分がどれだけ子供なのか、思い知らされた気がして、情けなくなってしまって。
そんな私の前に、突然現れた悠人さん。
「えっ、でも……」
「あいつらがそうしろって」
そう言いながら、私の手を引く。
もう片方の手には、私の鞄も持っていて、それを少し上げてみせた。
けれど、部の皆が、そう言ってくれたことに少し泣きそうになる。本当に、心配してくれているんだと分かって。
きっと、慌てて帰った西川さんの様子で、何かがあったことを悟ったんだと思う。
正直言って、今は冷静ではいられない。
考えれば考えるほど、マイナスな方向へと思考が傾いていくのが分かって……。
結局私は、素直にその言葉にしたがうことにした。