レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「華帆、出かけるぞ?」
「えっ?」
今日は土曜。会社はお休みのはず。何か仕事が入っていたかしら……と思って、スケジュールを思い浮かべたけれど、思い出せない。
「えっと、何でしたっけ……」
秘書としては失格なこの質問。けれど彼は大声で笑って、
「仕事じゃないぞ? デート」
「デート?」
思わず大きくなってしまった自分の声に驚いて、慌てて口を押える。
「そ、デート。可愛い服着て来いよ? あっ、選んでやろうか?」
「い、いえ。自分で……」
着替えさせてやるなんて言いかねない彼を部屋から追い出して、前に彼が揃えてくれた洋服を一通り眺める。
仕事用のスーツが多かったけれど、少しだけ私服もあったような……。
「これ、可愛い」
「Lune」というブランドのそのワンピースは、薄いブルーを基調としていて、まるで天気のいい日の海を思わせた。