レッスン ~甘い恋の手ほどき~
ウキウキした気分でそれに手を通し、白いカーデガンを羽織る。今日は、緩いパーマのかかかった髪を束ねずに、そのまま下ろす。
ワンピースに合わせて、ブルーのシャドウをほんのちょっとだけのせて、薄く化粧を施して、彼の待つキッチンに顔をのぞかせた。
「お待たせ、しました」
細身のジーンズに身を包んだ見慣れない彼が、コーヒー片手に私を見つめて動かない。
「へ、変ですか?」
「ヤバいだろ。脱がせたい」
「何言って……」
コーヒーをテーブルに置いた彼は、私のところまで歩み寄ると、腰を抱いて引き寄せる。
「行きましょうか、お嬢様」
そんな彼の言い方に、クスッと笑って小さく頷く。
こんな風にデートをするなんて初めてだ。「付き合おう」なんて言葉のなかった私たち。けれど気がつくと彼は一番近いところにいた。
そして、かけがえのない存在になるのに、時間はかからなかったから。