レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「何って、指輪。華帆はすぐに不安になるから、もう渡しておく。給料の3か月分とやらを」
「えっ……」
「俺はそのつもりでお前と付き合ってる。だけど、それがまだ早いことも重々承知だ。だからプロポーズはまだしない。
けど、俺も色々あるからな。お前が不安になる気持ちもよく分かる。
だから、これは俺の気持ち。真剣にお前と付き合っているという、俺の」
彼の言葉に、驚きすぎて声も出ない。
勿論、彼が私の事を真剣に考えていてくれることは、一目瞭然で、それを疑う気持ちなど微塵もない。
そして、彼の言うとおり、些細なことで不安になって震えてしまうのも確か。
だけど、ここまでしてくれるなんて……。
「悠人さん……」
「ん?」
「ここは嫌です」
「えっ、気に入らないのか?」
今度は私が彼の手を引いて、エスカレーターに乗る。