レッスン ~甘い恋の手ほどき~
1階まで降りて、もう少しカジュアルなジュエリーショップに入る。
「ここで、おねだりしていいですか?」
「あ、あぁ」
「これ、欲しいです」
私が指さしたのは、ホワイトゴールドの土台に小さなキュービックジルコニアの乗ったピアス。
これなら、仕事の時も身に着けていられる。
「4980円? これ、ダイヤなのか?」
「いえ、違いますよ? ダイヤに似た人工石です」
「なんだ、偽物か? それなら、本物を……」
彼がそう言いかけたのを止める。
「知らないんですか? いい女は偽物をつけても、本物に見せる力があるのを」
「華帆?」
「私、いい女ですから」
それは、彼がくれた自信。どんな宝石にも負けないほどの、光輝く宝物。
「参りました」なんて言いながら、それを私に買ってくれた彼。それを耳につけてくれた彼は、ニッコリと笑ってこう言った。
「本当だ。輝いている」