レッスン ~甘い恋の手ほどき~

本当の愛を


月曜日になって、出社するとすぐ、悠人さんが、突然本社に呼ばれた。
すべての仕事をキャンセルして、鞄を持って出かける。



「あのっ……」

突然の呼び出しが、何を示すのかは分かっていて。

「心配するな」

メガネをはずした彼は、一瞬優しい笑顔を残して出ていく。



心臓がドキドキする。
縁談を断ったせいで彼は……。


少し落ち着こうと深呼吸してみたけれど、何だか胸が苦しくなるばかりで。
ギュッと握り締めた手が、震えてしまうのが自分でも分かった。



「華帆ちゃん、深谷さんは大丈夫。俺たちもついてるし」

そう、部の皆は言ってくれるけれど……。




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