レッスン ~甘い恋の手ほどき~

「片桐さん、いらっしゃいます?」


私を訪ねてきたのは……。


「あのっ、先日は……」


西川さんだった。

室長室を借りて、緊張しながらお茶を出す。彼のいない部屋は、とても冷たい。



「彼は、いないのね」

「――はい」

「まぁ、知っていて来たんだけど」



彼女がお茶に手を伸ばした瞬間、やっぱり綺麗に巻かれた髪が、肩からはらりと落ちた。





< 240 / 253 >

この作品をシェア

pagetop