レッスン ~甘い恋の手ほどき~

「本社に戻るように打診があった。管理下に置いて、監視しようってやつだ。
だけど、俺は、お前達と仕事がしたい。できないなら、ここにいる必要はない」


私の存在が、そこまで彼を追いつめてしまったことを改めて感じて、泣きそうになる。
それでも、欲しいなんて言っておきながら……。


けれど、部の皆は違って――。




「深谷さんが上司でないなら、俺たちもここにいる必要はないです。

俺たちは皆、深谷さんに拾われた。各々、不得意な分野で息を潜めるようにひっそりと生活をしていたのに、それを見つけてくれて俺たちをここまで導いてくれた。
また、あの生活に戻りたいなんて、誰一人として思ってないです。
ここに来て、それぞれが力を発揮できる環境を与えられて……今の俺たちがある。

深谷さん、独立するんでしょ?」


「あぁ」


「それなら、俺たち丸ごと雇ってくださいね」



はぁ
大きなため息が彼の口から洩れる。



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