レッスン ~甘い恋の手ほどき~
その日は彼の部屋に向かった。
どうしても、彼に会いたい。仕事の顔じゃない彼に。
彼に預かっていた鍵を持って、マンションに向かう。
「お帰りなさいませ」
何度も来るうちに、コンシェルジュの人達とも、すっかり打ち解けて、お帰りなさいなんて言ってもらえることに、少し恥ずかしさを感じる。
いつも、彼の部屋に来る時は、こっそりメールをしたりしていたのだけれど、今日はしなかった。
きっと、彼は分かっているから。