レッスン ~甘い恋の手ほどき~
彼らに続いて、慌てて会議室に飛び込むと、資料を配る。
すでにその一つの席に座っていた彼を見つけて、深く頭を下げた。
「深谷様、先ほどは……申し訳ありませんでした」
私がそっと頭を上げると、微笑みながら首を横に振っている。
「大丈夫ですよ? 気にしないでください。僕も悪いんですから」
クスッと笑った彼は、まるでなんでもないというように、私を見上げる。
よかった。とても優しい人で。
私の失敗が、会社の不利益につながらなくて、本当に良かった。
「いえ。気が緩んでいました。申し訳ありません」
「ほら、もう気にしないで。あっ、お茶をいただけると嬉しいです。急いで来たら、喉が渇いてしまって」
私をそうやって外に出してくれたのは、修二さんが近づいてきたからかもしれない。修二さんは、まだ少し怒っているように見えたから。
会議室のドアを出るとき、さっきとは違って、仕事モードの彼が見えた。
内ポケットから、メガネを出すと、それをかける。
修二さんと言葉をかわす彼は、もうさっきまでの人とは別人だった。