レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「佐川さん、お電話です」
その時、そう飛んできた声に、ふーっとため息を吐きだす。
「先日の見積もりの件で、佐川さんと話したいと」
その言葉が、彼に追い打ちをかける。
彼にしか分からない電話だ。
封筒を手にしたまま、電話を取ろうとする。けれど、それでは深谷さんは帰ってしまうに違いない。
「あの、渡すだけで良ければ、私が」
私気がそういうと、ハッと顔を上げた彼が、少し申し訳なさそうに口を開く。
「――そうしてくれると助かる」
電話のボタンを押した彼からその封筒を受け取ると、急いで部屋を飛び出した。