レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「片桐さん……」
少し身を乗り出した彼が、私の目をじっと見るから動けなくなってしまう。
「僕の秘書をやる気はありませんか?」
「はっ?」
「ずっと探していたんです。でも、適任だと思う人がいなくて。今日は掘り出し物を見つけた気分です。こんなところにいたって」
彼の言葉に驚きながら、アイスティの氷が、カランとなって少しずつ溶けていくのを眺める。
そして、自分の頭の中を整理する。
秘書?
私が……。