レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「細かな注釈が、ついていましたよね。本当にわかりやすくて助かりました。
これは、きっとあなたが作ったに違いないって、会議中から思っていたんです。
営業をしていると、こんなこと書かなくても分かるだろうみたいな、傲慢な気持ちが出てくるんですよ。
だけど、あの資料にはそういうものが少しもなかった。
片桐さんの力が欲しいんです。
お願いできませんか?」
ほんの何時間か前に出会ったばかりの人が、こんなことを言うなんて。
何と答えたらいいか分からなくて、目を泳がせてしまう。
だけど沈黙のその時間も、困った顔一つせずに待っていてくれる彼がいて。