レッスン ~甘い恋の手ほどき~
会社に戻る時、どうしても気になるポケットの中の名刺。
「どうしても欲しい」
そんな風に言われたのは、きっと初めての事。
修二さんにだって、そんな風に思われてはいない気がして、少し寂しくなってしまう。
私の代わりはいくらでもいる……。
初めて体験したあの日から、ずっとそんな考えが私を捉えて離さなかった。
なんだかドキドキした気持ちで、自分のデスクに戻ると、修二さんの姿はなかった。
「あの、佐川さんは?」
たまたま戻ってきていた別の課員に訪ねると、忙しく手を動かしながら私をちらっと見る。
「あぁ、ちょっとトラブルで出たよ。あっ、電話が欲しいと言ってた」
「はい」