レッスン ~甘い恋の手ほどき~
やっとのことで自分の部屋に飛び込んで、開いていたカーテンを一気に閉める。
白いタバコの煙の向こうにあった、彼の冷たい横顔が、頭にこびりついて離れない。
音も立てずに流れていく涙が、あとからあとから零れ落ちてきて、ピンと糊の張ったシーツを濡らしていく。
何で、どうして……。
彼に抱かれたいとそう思ったのに、私にはできなかったんだ。
「――あのっ、さっきはごめんなさい」
勇気を出して押したボタン。
「もう、かけてくんな。お前の事なんて、好きなわけじゃなかったし。
できない女に、用はない」
彼との終わりは、たったその一言だった。
しかも、電話で。