レッスン ~甘い恋の手ほどき~


会社を出た後も、鞄の奥に忍ばせた名刺が気になって仕方がない。



秘書なんて。

そんな大変な仕事、私につとまるわけがない。
経験もない、知識もない。
――スキルもない。

何も持ち合わせていない私に……。



わかってる。わかってるけど……。



「どうしても欲しい」



そう言ってくれた深谷さんの優しい笑顔を思い出してしまって、もしかしたら、なんて淡い期待を描いてしまうのも事実。


修二さんなら、どう言うだろう。


「無理に決まってる」


そう言うだろうか。







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