レッスン ~甘い恋の手ほどき~
思わず叫んでしまいそうになる口に手をやって、後ずさりする。
「誰?」
一瞬その隙間から、彼女と目が合ってしまった。
その声に反応した彼が――起きあがって、振り向いてしまった。
「――華帆」
「あぁ、噂の下手な女ね」
下手な……。
一瞬にして、自分が凍っていくのが分かる。
私は、やっぱり……ダメな女。
「華帆」
修二さんが、もう一度私の名を呼んだとき、その女が彼の唇を覆うのが見えた。
それでも、何も言う事の出来ない私。
何が何だか分からなくなって、一目散に部屋を飛び出した。