レッスン ~甘い恋の手ほどき~
私はパンプスを脱ぎ捨てて、裸足で道路を歩き出した。
時々刺さる小石も、今の私には、痛くもなんともない。
ビルの谷間から見えるはずの小さな星空が、今日に限って雲に覆われていて。
そんな小さな出来事でさえ、私を絶望に誘う――。
ここ、どこなんだろう?
何も分からぬまま、飛び出して、ふっと気がついたときには見知らぬ公園。
もう立っていることさえ辛くて、そこにあったブランコに崩れるように座り込んだ。
ギー、ギー。
ほんの少し動くだけで、鈍い音を立てるそれ。
夢か現か分からないような状態の中で、その音だけが妙にリアルで。