レッスン ~甘い恋の手ほどき~
「さてと、明日からどうしよう」
そんな強がりを口に出してみた時、初めて涙が零れ落ちた。
明日、会社に行けば、当然彼がいて。
そして、今まで通り仕事を共有する。
そんなこと――
そんな器用に生きてなんていけない。
「キャッ」
もう失うものなんて何もないなんて思ったくせに、木から一羽のカラスが飛び立っただけで震える私。
バカみたい。
誰も、私の事なんて見ちゃいないのに……。