レッスン ~甘い恋の手ほどき~
だけど、そんな風に言われて、私にも待っていてくれる人がいるんだって。
独りよがりかもしれない。
深谷さんには、そんなに深い意味なんてないのかもしれない。
それでも、冷え切った心には、十分だった。
「片桐さん……もしかして、泣いてる?」
彼にそれを気付かれてしまったことで、動揺した私。
深谷さんには何も関係ない。
今日あったばかりの人に、こんな醜態は見せられない――。
「い、いえ。遅くにごめんなさい。もう、切ります」
「待って!今、どこですか?」
「えっ?」
「どこに行けば、あなたに会えますか?」
「深谷さん……」