レッスン ~甘い恋の手ほどき~
そのまま何も言わないで、ゆっくり私の髪を撫でてくれる彼の手に、少しずつ落ち着きを取り戻した。
「片桐さん、あなたはどうしたい?」
「えっ?」
「これから、あなたはどこへ向かいたいんですか?」
静かに口を開いた彼の問いかけは、私の胸に響く。
「私は――」
どうしたいんだろう。
正直、もうボロボロで、自分の未来像なんて、少しも見えてこない。
また、誰かと恋をしたって、きっと私は――。