SCHUTZENGEL ~守護天使~
「そうかね」

 男の言葉など意に介さず、デイトリアの瞳は鋭さを増していく。

「まさか素手で俺に挑むつりじゃないだろうな。そんなことはバカのすることだ」

 甲冑がカチャカチャと音を立てる。

 確かに、急所の部分は金属の鎧で固められていて、素手でダメージを与えるなど無理そうだ。

 それでもデイトリアは顔色を変えずに軽く両手を広げ戦闘体勢に入った。

 もちろん、その手には何も持っていない。

「よほど痛い目を見たいのか」

 随分と舐められたものだとデイトリアをギロリと睨み、巨体とは思えない速度でデイトリアに走りよりその頭上に剣が振り下ろされる。

「──なっ!?」

 ネイルは自分の目が信じられなかった。

 金属がこすれるような音がしたかと思うと、デイトリアがその剣を素手で受け止めていたのだ。

 その姿に一同は驚きを隠せない。
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