SCHUTZENGEL ~守護天使~

 次の日──

「私がそんなに強いわけないでしょ」

「そうなの?」

 様子を見に訪れたエルミにさっそく尋ねてみた。

「当たり前よ、デイは特別。私なんか足下にも及ばないわ」

 なんだか本人の前では聞き難かったので、風呂に入っているのを見計らって彼女に訊いてみた訳だが……。

「私はデイがうらやましい」

「え?」

 顔を伏せ、か細くつぶやいたエルミを見つめる。

「人間だった彼が強大な力を手に入れて、あの人の近くにいる。私はどんなにかデイが妬ましかったろう」

「エルミ……」

 彼女は人間じゃない。

 なのに、こんなにも人間らしい。

 人間でなくても誰かを愛する心はあるんだ。

 抱きしめたいくらいに弱くて儚くて、綺麗だ。
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